東京高等裁判所 昭和31年(ネ)436号 判決
被控訴人鈴や金融株式会社が昭和二十七年二月九日訴外橘田惟恭に金十五万円を貸し付け、控訴人が右訴外人の右債務につき連帯保証をしたこと及びその後右訴外人と被控訴人との間に調停が成立したが、右訴外人は右調停において定められた分割金の支払を一回もしなかつたことは証人橘田惟恭の証言に照らし明らかである。
而して証拠によれば、主債務者である橘田惟恭の被控訴会社に対する債務は支払い不良のため、被控訴会社としては不良債権として回収係の取扱いとなつていたところ、たまたま右橘田惟恭から調停の申立をしたので、被控訴人も譲歩して元金を金九万円としこれを十カ月間に月賦弁済すること並びに訴外秋山秋生を連帯保証人とすることにして調停を成立せしめたことが窺えるので、右調停において被控訴人と前記橘田惟恭が他に債権債務のないことを承認してもこれを以て調停の当事者でない控訴人らの連帯保証債務を免除したものとはなし難く、更に右調停において新たに前記秋山秋生を連帯保証人としたからといつて、これを以て直に控訴人の連帯保証を不必要とするに至つたものと推認するに由ない。
また控訴人は、被控訴会社の権利濫用を主張するが、証拠によつて被控訴会社が借入金または出資金名義の自己の債務の支払を停止していることは認め得られないでもないが、かような事情があるからといつて、被控訴会社がその債権を取り立てることを以て直に権利濫用となすに由ないので、控訴人のこの点の主張は採用できない。
してみれば控訴人は連帯保証人として前記橘田惟恭の前記債務につき支払の義務あるものであり、これと同趣旨に出た原判決は相当であるとして本件控訴はこれを棄却した。